INTERVIEW
For Mother's Day
「母の日によせて」
もうすぐ母の日がやってきます。 トンカチスタッフは4月にスウェーデンとイギリスを訪れ、
マリアンヌ・ハルバーグとポーリー・ファーンのアトリエで、 「母の日」と「母について」話を聞いてきました。

マリアンヌの実家はお花屋さん、母の日はお手伝いで大忙し。 母はスウェーデンの苦しい時代を生き抜いてきた「強さ」の象徴。
一方、ポーリーの実家はパブ、母は現在進行系の友人といった感じ。
人の数だけ母がいて、母の日がある。そんなことを感じるインタビューです。
リサ・ラーソンのインタビューと合わせてお読みください。

> リサ・ラーソンインタビュー
Marianne Hallberg
マリアンヌ・ハルバーグ
母はライオンね。
ライオンは強いイメージがあるでしょ。
子供を守るって意味でね。

トンカチ 「母の日」と聞いて思い出すことはなんでしょうか?

マリアンヌ 私の家は花屋だったの。母の日には皆がお花を買ってプレゼントするから、その時期のお店は忙しくて、子供の頃はよく手伝いをしていたわ。だから、母の日で思い出すのは「花屋」ね。

トンカチ 「母」と聞いて最初に思い出すのは何ですか?

マリアンヌ 母はライオンね。ライオンは強いイメージがあるでしょ。子供を守るって意味でね。私にとって、母は強い、というイメージなの。

トンカチ あなたのお母さんはどんな人でしたか?

マリアンヌ 彼女はナースとして働いていて、本当に記憶力がよかったの。会った人の名前や会話の内容、その人の病状まで全部見事に覚えてたわ。頭が良かったのね。ブリッジ(カードゲーム)が得意で、大会に出たこともある。 彼女は仕事と母としての生活をうまく両立してたわ。私は母から、仕事の重要さを教わったの。 彼女はあまり干渉しないタイプで、私のことを信頼してくれていたから、自由に色々なことが出来たの。でも、私は自分の息子には厳しくしてきたの。若い頃ってとってもバカなことばかりするものだしね。

トンカチ あなた自身が母になってみて、母というイメージはどんなふうに変わりましたか。

マリアンヌ 母とは、「誰かに対して際限のない愛情を持つ者だ」ということが分かったわ。それは私にとって大きな発見だったわ。

トンカチ それはある日突然気づくのでしょうか?

マリアンヌ それは自然にわかっていくものでしょう。でもね、母は私のことをいつも全力で応援してくたの。母が年老いて老人ホームで生活していた頃、私の展示を見に来てくれてね。なんと、母は老人ホームのお友達をたくさん引き連れてやって来たのよ。(笑) 本当に嬉しかったわ。

トンカチ あなたが母になって一番大変だったと思った時のエピソードと、「母って最高だ!」と思ったエピソードを教えてください。

マリアンヌ 一番大変だった時は、 私の息子が一人立ちした時。 子供が自分から離れる時は大変だった。でも、最高だと思った時も、子供が自分のもとを離れた時なの。「子供ってものは、しばらくの間、借りているだけ」と母が言っていて、本当にそうだと思うわ。

トンカチ あなたの子供時代に比べて、母と子の関係は、どんなふうに変わってきたと思いますか。

マリアンヌ さっき、仕事と母として生活の両立を話したでしょう。私が感じるのは、私と息子の時代はとても裕福で、人と人との繋がりが昔ほど強くないのよ。みんな個人的に考えるのよね。

マリアンヌ 知っているかもしれないけど、100年前スウェーデンは本当に貧しくて、多くのスウェーデン人がアメリカへ移住をしていた頃があるの。本当に本当に貧乏だったけど、スウェーデンは諦めないで教育に力を入れていたの、女も男も関係なくね。だから、その時代から受け継いだ強さが母にはあるの。それに加えて、アメリカ移住を一族でするみたいな、1人でなにかするというより、周りの人を巻き込んで何かすることが多い時代だったから、そういった感覚が私と母は違うわ。

トンカチ 逆に母とあなたがとても似ていた部分はありますか?

マリアンヌ 子供にとって親に似ているっていうのはあまり喜ばしいことではないものよね。(笑)でも母親の中に自分を見るのことは面白くて、良いところもあるだろうけど、それよりも自分がイライラしている時にする事とか、あまり似て欲しくない部分が似ていたりするものよね。でもね、彼女は他人に対してイライラしたりしなかったわ。私もないのよ。多くの人は他人の言動にイライラするけれど、私達は自分にイライラするのよね。

トンカチ アーティストになることに対して、お母さんは心配しましたか?

マリアンヌ 一度もないわ。むしろ、私自身がアーティストになりたいと思う前に、私がアーティストになるだろう、って彼女は気づいていたと思うわ。

トンカチ 「作品づくりへの愛」とは、どんな愛でしょうか。

マリアンヌ 私は作品を作るという仕事を愛しているけれど、何をやっても上手くいかなくて自信を喪失する事も頻繁にあるわ。「作ることへ捧げる愛」と「捧げても得られなくて喪失する自信」、それをずっと繰り返して、決して諦めないという事が、「作品作りへの愛」だと思うわ。

トンカチ あなたと母との物語が映画になったとして、あなたにとって、もっとも印象的なシーンは、どんなシーンになるでしょうか。

マリアンヌ 母との共同作業です。私は母と一緒に何かをする事が楽しかった。

トンカチ 例えばそれは具体的にどんなシーンになるでしょうか?

マリアンヌ ホープレス・プロジェクト(希望なきプロジェクト)、とでも言おうかしら。(笑)私たちは、無理っぽいことに取り組むのが楽しかったの。例えば、私と母とで、とっても大きいな木の根っこを掘り起こしてみたことがあるの。(笑)最初は無理っぽく思えたことが出来た時の達成感は計り知れないのよ。一緒に考えて考えて、計画を沢山練って、無茶に思えても挑戦するの。簡単なことをするより、断然楽しいわ。

トンカチ 母を作品にしたことはありますか。

マリアンヌ 唯一、絵があります。母が亡くなった時と父が亡くなった時に描いた絵で、両方とも泣いている絵。

トンカチ なぜ、その絵になったのでしょうか?

マリアンヌ ただただ、深い悲しみを描いたのよ。心のそこから悲しいときって、ただホントに「悲しみ」だけが心にあるの。その悲しみを、絵に投影しただけよ。「悲しみってどんな風に見えるのだろうか」って。そして、「涙」は悲しみを表す大きなシンボルよ。

トンカチ その絵は今はどこで見ることができますか?

マリアンヌ 後で写真を送るわね。

Polly Fern
ポーリー・ファーン
そうなの、
私は母が大好きなの!

トンカチ 「母の日」と聞いて思い出すことはなんでしょうか?

ポーリー 私は母と継父が経営していたパブの上に住んでいたの。
ある日、母は新メニューとしてサンデーロースト(肉や野菜をローストしたイギリスの伝統的な料理)を日曜日に出すことにしたの。その初日が、笑っちゃうんだけど、母の日だったの。私はお小遣いが欲しくて、お店を手伝いました。

私と母は、年齢を重ねるにつれて親友の様な関係になってきました。母とは毎週の様に会っているし、毎日連絡を取り合っています。毎晩、寝る前に母にメッセージを送るんですけど、こう聞くとちょっと寂しい感じがしますか?(笑)でも、そんな間柄なんです。私たちはとても似ているんです。ユーモアのセンスが同じで、沢山の時間を一緒に過ごしてきました。多分、一緒に居過ぎたのかな。(笑)そうなの、私は母が大好きなの!

トンカチ 母を作品にしたことはありますか。

ポーリー ええ、もちろん!棚の上にある花瓶なんだけど、母は農家で育ったの。これは母と祖母たち家族が暮らした農場から影響を受けて作られています。だから農場で使われるミルク缶の様な形をしているの。

トンカチ もしあなたが今、母にインスパイアされた作品を作るならどんなものでしょう?

ポーリー 母はウィペットという種類の犬を飼っていて、その子達に夢中なの。多分、その犬のモチーフを使うわ。自分の子供より、その子達が好きなのよ!(笑)だから、その犬がいっぱいいる花瓶を作るわ。

トンカチ あなたと母との物語が映画になったとしたら、もっとも印象的なシーンはどんなシーンになるでしょうか。

ポーリー 多分、私たちが涙が出るほど笑っている、そんなシーンじゃないかしら。多分ね。